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「えっ、僕が…………?、」
「はい。貴方に、お見合いを止めて欲しい。…もちろん、無理は承知です。断って頂いても構いません。ですが…貴方がこちらに残された最後の切り札。」
正直分かるような、分からないような感じだ。
全くの赤の他人、数週間過ごしただけの付き合いだ。そんな奴が…まだ大学生、社会のことなんて何も知らない子供に何ができるんだ、という気持ちもあった。
だが、僕が行かないと、止めないと、アキラさんに自由はないのかもしれない。
一生家と会社を背負って、縛られて生きていくのかもしれない。…そうなれば、当然二度と会えないだろう。
「……わかりました。僕にできることがあるなら協力します。」
「…………ありがとうございます。貴方なら、そう言ってくれると思いました。」
詳しいことは明日話します、とだけ伝え、佐々木さんは帰って行った。本当にこっちの話がメインだったようだ。
僕にできること、僕に、できること………
何ができる?
平凡な大学生。相手は超有名企業の息子。
何もかも違う。
だけど、これだけは分かる。
アキラさんは、自由になるべきだ。
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