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今からでも、「やっぱり帰ります。」と言いたくなった、
佐々木さんの車に乗って20分、到着したのは、お見合いにはぴったりな和食屋だった。
…だが、そのスケールが桁違いだ。
周りを竹で囲まれた日本風の造りのお店は、小さな池があったり、魚が泳いでいたり、獅子落としがカランと音を立てていて、厳粛な空気が漂っている。
お店の中に入ると、一瞬で普通の和食屋とは違う雰囲気を感じた。足音も立ててはいけない、そんな厳粛な場だった。
「海斗さん」
佐々木さんが小声で僕の名前を呼ぶ。耳を覚ますと、なにやら奥の方で人の話し声が聞こえる。甲高い女の人の声と、野太い男の声…。
「ここを真っ直ぐ行って、右に曲がった部屋に、アキラはいます」
佐々木さんは、それだけ告げた。あとは何も言わなかった。
僕は、忍足で声のする方へ向かう。
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