25人が本棚に入れています
本棚に追加
38
「アキラさん!!!!」
僕の声は、きっと裏返って甲高くって、ぎこちなかっただろう。
襖を勢いよく開けると、中にいた全員が僕の方を見た。
アキラさん、アキラさんのお父さん、結婚相手の女性、そのご両親らしき人。
なんなんだこの子どもは、と目線が言っていた。
「……海斗?」
アキラさんだけは、違った。
「か、海斗?なんでお前、ここに…」
「アキラさん、帰ろう?」
驚いた顔で目を丸くするアキラさんは、僕の知っているアキラさんだった。
銀髪でピアスを何個もしていて、ヤンキーみたいな人。
僕の、好きな人。
「アキラ、誰だその子は」
アキラさんのお父さんが声を発した。邪魔された怒りと、驚きが隠せないような言い方だった。
アキラさんは、何も答えない。
もしここで僕の正体を明かしてしまったら、僕に迷惑がかかると思っているのだろう。アキラさんは唇をぎゅっと噛み締めて、言い訳を考えているようだった。
「新島海斗。この数週間、アキラさんと一緒に暮らしていた者です」
今度こそ、僕ははっきりと言った。
後悔はない。だって、アキラさんが少し、安心したような顔をしていたから。
最初のコメントを投稿しよう!