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ししおどしの、カランという音が響く。それくらい、この部屋には音がなかった。
全員が、僕の方をぽかんとした顔で見つめる。
アキラさんの結婚相手に関しては、上品のかけらもなく、口を半開きにしていた。
僕は今、なんて言った??
反撃するように言葉を重ねて、何かとんでもないことを言ってしまったのだろうか。思い出そうとするが、数秒前のことなのに、頭がそれを堰き止める。
「……海斗?」
アキラさんの声で、はっと我に帰る。
僕はアキラさんが……
す_______?
全身の血の流れが早まったのがわかった。心臓の鼓動も早い。とてつもなく大きな音を立てて、僕の耳に聞こえてくる。背筋を、汗が伝う。鳥肌が、全身に浮かび上がる。
「君は、何を言って…?」
アキラさんのお父さんは、呆れたような顔をしていた。僕が何を言ったのか、うまく飲み込めていない様子だ。
この静かな、ある意味修羅場と化した状況を最初に打ち砕いたのは、それまでずっと口を半開きにしていた、アキラさんの結婚相手だった。
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