ムーンライトシャドウ

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「なぁ、正臣……しない、のか?」  中に埋まっている正臣の昂りは萎むことがなくて、焦らされた馨は小さな動きですら絶妙に快楽として拾ってしまう。 「休憩にしなければ良かったかな、って悩んでいてね。こうして君を抱っこしていたい。高校生の頃に戻った気分だ」  馨には高校生の頃の甘酸っぱい思い出なんかない。  その頃には義理の父親に仕込まれていて、雄の味を知っていた。セックスは手段でしかなかった。愛されたいと願う馨が、少しでも人から温もりを得るための。 「なぁ、高校生の頃のお前ってどんな?」 「うーん、既に擦れていたよ。勉強熱心だったかな。セックスの虜だった」 「勉強ってそっちかよ」  ずっとこうしていたいなぁ、と言われて馨は戸惑った。何度もキスされて、舌を絡めているから会話が中断する。  やめたらいいのに、どちらかにしたらいいのにキスは止まない。馨はもっと気持ち良くなりたくて自分から腰を振っていた。じれったい、まるでままごとみたいなセックスだ。 「知ってる? こうやって君をゆっくり抱き締めていられるのは、二人きりの時だけだ」 「ああ、悠真も同じこと言っていたな」 「だろう? 君のことを好きだからこそ、僕だけのものにはしたくない。僕は、人を好きになるのは得意じゃないから」 「でも高校生気分なんだろう? 一体、どんな気分なんだ? お盆と正月が一緒に来たみたいな?」 「そう、君とゆっくり触れあえて嬉しかった。僕はワガママだね。君を好きなのに、まだ少し怖い」  きっと正臣と二人きりでこの一年を過ごしていたら、今このとき馨は正臣とホテルには来ていないそんな気がする。  寂しがり屋の馨にはやっぱり人間不信の正臣は冷たく思える部分もあるし、ずっと彼に抱き締めていて欲しいと言えるほど若くもない。  自分たちは恋愛の一番若くて柔らかい時期を逃してしまった。だからこそ今という蜜月を楽しめる。 「ずっと、お前といると寂しかった」 「それは、良く言われることだね」 「でも今は寂しくないよ」 「ありがとう馨さん」  そう言うと、正臣は急に腰をグラインドさせてきた。 「……っん、正臣、急にされたら……っ」 「馨さんの中、きゅんきゅんして気持ち良いね」
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