思い出

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卒業式の日 先輩の周りにはたくさんの人集りだった。 あぁ……これで最後なんだと、私は少し離れた場所から先輩を見ていた。 私と先輩の関係は、後輩以上恋人未満だった 気持ちを伝えるのが怖かった この関係が終わるのが怖かった その時、私を見つけた先輩がゆっくりと歩み寄ってきた。 「遠藤、探したよ」 そう言って第二ボタンを外すと 「これ……」 って、手渡された。 泣き出しそうになった私は 「こ……これだけですか?」 ってわざと言うと、名札と名札に着いた鈴を手に置いた。 「俺が受験で買ったお守り。名札と3点セットにしてやるよ!」 そう言うと、私の頭のくしゃくしゃっと撫でた。 「またな、遠藤」 笑った先輩の笑顔が悲しかった。
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