4人が本棚に入れています
本棚に追加
卒業式の日
先輩の周りにはたくさんの人集りだった。
あぁ……これで最後なんだと、私は少し離れた場所から先輩を見ていた。
私と先輩の関係は、後輩以上恋人未満だった
気持ちを伝えるのが怖かった
この関係が終わるのが怖かった
その時、私を見つけた先輩がゆっくりと歩み寄ってきた。
「遠藤、探したよ」
そう言って第二ボタンを外すと
「これ……」
って、手渡された。
泣き出しそうになった私は
「こ……これだけですか?」
ってわざと言うと、名札と名札に着いた鈴を手に置いた。
「俺が受験で買ったお守り。名札と3点セットにしてやるよ!」
そう言うと、私の頭のくしゃくしゃっと撫でた。
「またな、遠藤」
笑った先輩の笑顔が悲しかった。
最初のコメントを投稿しよう!