episode 246

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九条さんが消えてしまった。 こんなことしている場合じゃないのに——。 「やめて……放してっ……」 「うるさい、猿轡もはめて欲しいのか?」 僕は征司の部屋に囚われている。 「いやってほど犯したでしょ……どうしてまたこんなことするのっ……」 手錠をかけられた両手が慣れた調子で頭上の鎖に繋がれ、僕の身体は人形のようにベッドに転がされた。 「あの人を追いかけないように?……そうでしょ?……そうなんでしょう?」 黙々と僕を繋ぎとめるこの男が今は本気で憎い。 「聞こえてるだろ……何とか言えよ……!こんな事までしなきゃ自信ないのかよ……なあ、征司っ……!んんっ……!!」 冷淡な眼差しが 無理やり塞がれた唇が 折れそうなほどに抱き締められた身体が――。 「あいつは出てった。もう行かせてやれ」 「やだっ……!馬鹿言うな……!」 征司は暴れる僕を組み敷くと まるで善人気取りで言うんだ。 「行かせる……違うな。生きるの方だ——なあ、あいつを生かしてやれよ」 「生かせる……?」 「ああ、おまえに——いや俺たちに出会う前のような真人間として生かしてやるんだ。これが最後のチャンスだぞ?」 そして己に移植された彼の一部を摩る様にして囁く——。 「おまえのためにこんなことまでする男の——次は命まで取るか?」
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