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凡俗にとって大事な大事なものがものを言う世の中には少なからずいる者で、然る会社に外面が良くて内弁慶の男が務めていました。
彼は平気で歯が浮くような綺麗事を言い、お追従を言い、リップサービスもよくします。ですから社交辞令や外交辞令や愛想笑いが得意で、お為ごかしをして親切を装いますので上滑りな会社員たちに好感を持たれ、とても良い人として慕われ、上司にも気に入られていました。
時には鼻薬を嗅がせるなどして男は着実に出世し、それでも腰を低くしていましたが、内弁慶ですから家では威張り散らし、普段、いい人を演じている所為でたまったストレスを発散しようと幼い息子に当たってDVを働き、嫁に対しては悪態ばかりついていました。
何しろ嫁は不器量な上に怠け者で掃除一つ真面に出来ませんので何でそうも掃除が下手なんだと男に詰られますと、掃除をしたくないばかりに犬の頭も借りたいくらい掃除するには私の頭は足りないからしょうがないんですとこんな呆れ返る言い訳をするのです。
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