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「ねえ…友達見つかった?」
歩美は欠伸をしながら椅子に膝を立てて座る。僕は相変わらず歩美の脱ぎ散らかした服を集めて、両手に抱えながら洗濯機へ向かう。洗濯機に入れる前に、縮む素材はないか表示を確認しながら「いや」と返事した。
「ふうん」
「なに」
「誰にも何も言わないで姿を消すって、どんな気分なんだろうね」
歩美はリモコンを押してテレビをつける。色落ちしそうな赤いタイトスカートを手に取る。
「これ、手洗いなんだけど」
「洗濯機に入れてもいいよ」
「色落ちするよ」
「いいのいいの」
「困るよ。俺のシャツがピンクになるだろ」
歩美は声を上げて笑う。
歩美の質問に答えることはできない。由之の代弁なんて以ての外だ。彼は昔から変わり者。口数は少ないが、やることが大胆。女子のスカートを堂々とめくってみせたのも由之だけだ。
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