序章 神話と破滅

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 オルニュス戦争。ヴァルカの神々がホルド陣営とヘルダール陣営に分かれて始めた闘いは、熾烈を極め、千年にも及ぶ大戦争へと発展した。神器を振るい殺し合う神々——中立を保っていたセルフィールの介入によって終止符を打つこととなった。  憐れにもセルフィールはホルドを世界の果てに封じ込め、ヘルダール陣営の勝利となった。 「許さぬぞ、ヘルダール。そして堕落した神々よ。我は再び戻って来るぞ」  ホルドは復讐を呪いに変え、大地は魔物が溢れる地と変わってしまった。そして魔物を率いた彼はいつしか「魔王」と呼ばれ、世界に永遠の敵となった。  これがハーリンガー地方に伝わるヴァルカ神話の一節である。  神話の神々を崇める人々は各地に寺院を作り、良い行いをすれば神々が救ってくださると信じていた。ハーリンガーの中央に聳え立つ山脈こそ霊峰シルヴィールと言われ、ホルドが咆哮で割ったとされる亀裂もあった。  では世界の果ては何処にあるのか。それは誰にも分からない。  そしてイスラ歴二〇六年、大預言者アスラーンが死に際に魔王復活の予言をした。その晩、空に赤い流星が流れ、予言は現実になろうとしていた。
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