第一話

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第一話

いつものコンビニの前で黄色い帽子の小学生が騒いでいた。 四人の男の子が躰のひ弱そうな小さい子を傘の先で突いている。 いつもここで同じことしてるよナ。 そんな日本の社会問題に一瞥をくれ 店内に入る。 ねこねこねこ……あった! 『ネコネコ道場~シンデレラボーイは眠らない~』 今回で120巻目だぜ!! 記念に番組オープニング曲と短いスピンオフストーリーが収録されてんだよねえ。 家に帰るとオカンが帰って来ていた。 階段をあがる前にチラリとこちらを覗った。 白いレジ袋を見て、「中学も二年になって漫画ばっかり。ちょっとは勉強しなさい」だって。 「そんな判で付いた母親の言葉は全く刺さらないぜ、 もっと気の利いたセリフ吐け!」 「中二病にもなって、引きこもって!時間あるでしょ。漫画ばっか読んでないで描いてみたらぁ。受手から与える方に変わってみたらぁ。お母さん画用紙と絵具買ってやっても良いわよ。 でなかたら。アレ。あんたが夢中なネコネコなんとかに出てくるヒーロー。あんあのになりなさいよ。お母さん全巻読んだわよ~」  ぐっさり刺されたオレは真っ直ぐ自分の部屋に入り バシンとドアを叩きつけて鍵をかけた。  マジむかつく。 マジムカつく。マジムカつく。  マジ気の利いたセリフ吐きやがって!!  何様のつもりだよ!  多分この間の反撃だろう。 あんまり説教が長いもんで、 「オレがこうしていなかったら、おまえら夫婦はとっくに離婚してたよな。つまりはオレ様のお陰で今こうしていられるんだ」  ナイフとフォークと さっきまでコンロにかかっていた熱湯入りの鍋が飛んで来た。 蓋を開けたままの醤油のボトルでシャツが台無しになった。 限定200枚の朝比奈先生のキャラ入りTシャツだったのに。 でもオトンから、飛んで来たのは本物のダーツの矢だった。 顔すれすれの壁にツンと刺さったのだ。  両親とも大人のくせに結構危ない。  こんなんだから『親の顔がみてみたい』といわれるんだ……  ああ。そんな事より『ネコネコ道場』読まなくちゃ。付録はオープニング曲と第二期から新しくなるオープニング曲が収まっているのだ。これは聴いたことないから楽しみだ。  レジ袋から取り出そうとして、  腰を抜かした。  袋から白いにゃんこが飛び出してきた。  にゃーにゃー鳴き出した。  反射的にオーディオのボリュームをマックスにあげた。  小さな躰は真っ白で毛は短い。眼が異様に綺麗な空色だ。  そんな馬鹿な…… 買ったのはコミックだった。 確かにカゴに入れたのは朝比奈先生のコミックと メロンクリームソーダのペットなボトル とミルクパンと純生ロールケーキだったはず……だよね?
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