1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
第一話
いつものコンビニの前で黄色い帽子の小学生が騒いでいた。
四人の男の子が躰のひ弱そうな小さい子を傘の先で突いている。
いつもここで同じことしてるよナ。
そんな日本の社会問題に一瞥をくれ
店内に入る。
ねこねこねこ……あった!
『ネコネコ道場~シンデレラボーイは眠らない~』
今回で120巻目だぜ!!
記念に番組オープニング曲と短いスピンオフストーリーが収録されてんだよねえ。
家に帰るとオカンが帰って来ていた。
階段をあがる前にチラリとこちらを覗った。
白いレジ袋を見て、「中学も二年になって漫画ばっかり。ちょっとは勉強しなさい」だって。
「そんな判で付いた母親の言葉は全く刺さらないぜ、
もっと気の利いたセリフ吐け!」
「中二病にもなって、引きこもって!時間あるでしょ。漫画ばっか読んでないで描いてみたらぁ。受手から与える方に変わってみたらぁ。お母さん画用紙と絵具買ってやっても良いわよ。
でなかたら。アレ。あんたが夢中なネコネコなんとかに出てくるヒーロー。あんあのになりなさいよ。お母さん全巻読んだわよ~」
ぐっさり刺されたオレは真っ直ぐ自分の部屋に入り
バシンとドアを叩きつけて鍵をかけた。
マジむかつく。
マジムカつく。マジムカつく。
マジ気の利いたセリフ吐きやがって!!
何様のつもりだよ!
多分この間の反撃だろう。
あんまり説教が長いもんで、
「オレがこうしていなかったら、おまえら夫婦はとっくに離婚してたよな。つまりはオレ様のお陰で今こうしていられるんだ」
ナイフとフォークと
さっきまでコンロにかかっていた熱湯入りの鍋が飛んで来た。
蓋を開けたままの醤油のボトルでシャツが台無しになった。
限定200枚の朝比奈先生のキャラ入りTシャツだったのに。
でもオトンから、飛んで来たのは本物のダーツの矢だった。
顔すれすれの壁にツンと刺さったのだ。
両親とも大人のくせに結構危ない。
こんなんだから『親の顔がみてみたい』といわれるんだ……
ああ。そんな事より『ネコネコ道場』読まなくちゃ。付録はオープニング曲と第二期から新しくなるオープニング曲が収まっているのだ。これは聴いたことないから楽しみだ。
レジ袋から取り出そうとして、
腰を抜かした。
袋から白いにゃんこが飛び出してきた。
にゃーにゃー鳴き出した。
反射的にオーディオのボリュームをマックスにあげた。
小さな躰は真っ白で毛は短い。眼が異様に綺麗な空色だ。
そんな馬鹿な……
買ったのはコミックだった。
確かにカゴに入れたのは朝比奈先生のコミックと
メロンクリームソーダのペットなボトル
とミルクパンと純生ロールケーキだったはず……だよね?
最初のコメントを投稿しよう!