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夜が明けた。
まだ環を失った悲しみは癒されていない。この後、何をどうすれば良いのかさえわからない。
ただ、人間の慣習を思い返せば、亡くなった人を墓に埋めるのが習わしだと聞いたことがあった。
墓と言えば、山手の上に行けば外人墓地があることを思い出した。
生前、環とふみの三人でこの辺を散歩した時に、環が教えてくれた場所だ。その時、環は話してくれた。
『リースが死んだら、ここで眠るんだよ・・・』
環の優しい声が、リースの脳裏に思い出される。
「環の方が、先になったな・・・。やっぱり、人間だから・・・。一緒にいられる時間は短かったなぁ」
そう言うと、リースは環の体を美しいドレスに着替えさせて白いシーツに包むと、そのまだ温もりの残る体を抱き抱えてベットに横にした。
「人間は亡くなった時、神に仕える者による言葉が必要なんだよね・・・。ちょっと、探してくるから待っていてね」
リースは、環を残して家を後にした。
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