虹の扉の向こう側

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 26歳の終わり頃に地元の長崎県佐世保市の小さな町に戻ってきた。  当時、東京で付き合っていた彼女とは東京を出る時に別れる事にした。別れる事にしたと言っても、俺の勝手な判断で一方的に決めた事だった。 何の前触れもなく地元に戻るという俺に彼女は納得できていなかったようで、   「勝手でわがまますぎる!私の人生をどうしてくれるの?違う仕事をこっちで探せばいいのに。」とか最後まで色々と言っていたけど、とにかく一旦、東京の生活から離れたかった俺は半ば強引に別れてきた。  罪悪感はあったけど26歳の俺に良く結婚をちらつかせていた2歳年下の彼女は自立できていないただの世間知らずのお嬢様に見えて、俺にはちょっと荷が重かった。  なので、彼女は今でも俺のことを恨んでいるだろう。大学時代からの付き合いだったが、周りの知人に俺は最悪な男だと言いふらしているらしい。が、帰りの飛行機でもうそんなことはどうでもいいという気分になっていたし、確かに、俺は勝手な人間かもしれないとも思っていた。
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