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 5月1日金曜日 夕方。 「道に、迷った?」  私は呆然と立ち尽くしたまま呟いた。  私にはどうしても行かなくてはいけない神社があった。  今年、ゴールデンウイークを利用してここ来たのだけど。  神社に行って用事が済んだら一旦駅前に戻って2日程泊まるつもりだった。  観光旅行の予定で、この金曜日に1日だけ有給も取った。  この辺りは温泉が有名だから、温泉巡りもいいし、地元ならではのおいしい物も食べて帰ろうと思っていた……のだけど。  私は昼間のことを思い出す。  お昼にお蕎麦屋さんで天ぷら蕎麦(温)を食べて、目的の神社へ行く道を聞いた。 「簡単な道なので、迷うことはないですよ」と店員さんは言ってた。  歩いているうちに、何故か道ではない所を進んでしまっていたらしい。 (うそでしょ……?)  とにかく道を見つけようと歩きながら辺りを見回すけど、道らしきものを見つけられない。  それでも何とか進んでいくうちに、辺りが暗くなってきた。  湿った木の葉で滑りそうになったり、木の根っこでつまずきそうになったりで足はフラフラだ。  不安と焦りが心を埋め尽くす。  その時、突然カラスの鳴き声がして、私はびくっとしてしまった。 (私、ここで夜を過ごすのかな? 熊とか出るんじゃ……?)  怖くて泣きそうになる。  私は、空を見上げた。 (誰か助けて……)
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