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「だが、オレが鍛えてやろう!竈門少年、オレの継子になるといい!面倒を見てやろう!」
炭治郎は内心で
「面倒見が良い人なんだなぁ」
と呟く。
ともあれ、杏寿郎は俺の方を向く。
「そういえば、星龍と栗花落は継子を取ったそうじゃないか!どんな人物なんだ?」
炭治郎、善逸は
「誠さんと奏多さんの継子、凄く気になる」
と内心で呟く。
誠は彼女らを思い浮かべながら、口を開く。
「俺の方も奏多の方も、基本は無口ですが、実力は確かです」
「ふむ。では、呼吸は花の呼吸か?」
「そうですね、奏多の継子は花と桜です。俺の継子は観音の呼吸です。ただ、何の呼吸の派生なのか、彼女自身も分かってないみたいです。それと奏多の継子は、奏多の剣技はほぼ模倣できてますよ」
「そうか!星龍の継子は2文字なのだな!」
と呟くと、炭治郎たち
(伊之助は除く)
は目を丸くする。
剣技をほぼ模倣が出来ると言うことは、既に実力剣技が柱に近いということでもあるからだ。
「紋逸!オレ外に出て走るから!どっちが速いか競争する!」
「いや、危険だって!馬鹿にも程があるだろ!」
炭治郎、杏寿郎、誠が横の席を見る。
そして、善逸が伊之助の頭を叩くも、伊之助には効果がない。
「危険だぞ!いつ鬼が出て来るかわからないんだ!」
杏寿郎がそう言ったら、善逸が
「――え?」
と呟き、顔を青くした。
伊之助も先程の興奮を抑え、善逸と同じく杏寿郎を見る。
「……嘘でしょ、鬼が出るんですかこの機関車!?」
「出る!」
「出んのかい!嫌ァ――ッ!鬼の所に移動してるんじゃなくて、ここに出るの嫌ァ――ッ!オレ、降りる!」
「短期間の内に、この汽車で四十人以上の人が行方不明になっている!数名の鬼殺隊員を送り込んだが、全員消息を絶った!だから、柱であるオレと星龍が来た!」
「はァ――ッ!なるほどね!降ります!」
善逸は、恐怖から涙を流し
「柱が二人も派遣とか、絶対十二鬼月案件だよね――ッ!」
と、内心でも叫び散らす。
そこへふらりと車掌の男が現れ、俺と杏寿郎は己の切符を差し出した。
「切符……拝見……致します」
炭治郎は見慣れない光景に首を傾げた。
「何ですか?」
「車掌さんが、切符を確認して切り込みを入れてくれるんだ」
俺の説明に、炭治郎は楓たちに習うように切符を差し出した所で、匂いで何かを察する。
切符からは、何だか嫌な匂いがしたのだ。
だが、切符は切り込みが入れられる。
善逸と伊之助も同じように入れられた所で、この車両での切符の確認作業は終了した。
「……拝見しました」
車掌の言葉を聞く者は居ない。
――そう、車両に居た全ての人間が眠りに就いてしまったのだから。
車掌はそれを確認してから、次の車両へ移動して行った。
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