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「誠さんんんんっ!煉獄さんんんんっ!死んだらダメええぇぇええっ!」
「死ぬなよっ!龍羽織りっ!目ん玉ギョロギョロっ!」
と叫び声が上がる。
善逸が炭治郎を背負い、伊之助が禰豆子の入った箱の紐を両肩から下げながら、楓たちの方へ走り寄る。
「良かった、善逸たちも無事か」
「黄色い少年、猪頭少年、竈門少年、よくやった。君たちのお陰で、オレたちが心置きなく戦えたんだからな」
善逸は顔を青くし
「そ、そんな重傷でも普通に喋れるって、柱って怖ッ!普通、喋るのは辛いはずだよっ!」
と、小言を呟いていた。
杏寿郎は、善逸の背に乗っている炭治郎を見た。
「――竈門少年。オレは君の妹を信じる、鬼殺隊の一員として認める。オレは、汽車の中であの少女が血を流しながら人間を守るのを見た。命をかけて鬼と戦い人を守る者は、誰が何と言おうと鬼殺隊の一員だ。誰にも否定させない。」
炭治郎は嬉しかった。
認めてもらえたことが、本当に嬉しかった。
禰豆子の頸を斬ろうとしていた筈の杏寿郎は、しっかりと炭治郎たちの行動を見てくれたのだ。
「……あ、ありがとうございます」
炭治郎はそう呟き、両瞳から涙を流す。
その時、遠くから黒い服に身を包んだ集団がこちらに走り寄る。
隠の人々だ。
彼らの頭上には二羽の鴉が飛んでいた。
誠と杏寿郎の鴉だ。
鴉たちは産屋敷邸に飛び、報告を上げていたらしい。お陰で、乗客の人々も怪我の治療が受けられるはずだ。
「隠の者たちが来てくれたようだ。我らも治療の為蝶屋敷に向かおう!」
杏寿郎がそう呟く。
ともあれ、隠の人々は俺を背に乗せ運び、杏寿郎には肩を貸し、善逸は炭治郎を背負い、伊之助が禰豆子が入った箱の紐を両肩に掛け直し、歩みを始めたのだった。
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