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隠の制止を無視して、禰豆子が入った箱を片手に現れたのは、風柱・不死川実弥だ。
「鬼を連れた馬鹿隊士そいつかいィ。一体全体どういうつもりだァ」
実弥は殺気を露にし、日輪刀に手を掛け抜き放つ。
「鬼が何だって坊主ゥ。鬼殺隊として人を守る為に戦えるゥ?そんなことはなァ、ありえねェんだよ馬鹿がァ!」
実弥は禰豆子が入った箱を貫こうとするが――その直後、ガキンッ、と凄まじい甲高い金属音が響き、抜剣し割って入った俺と奏多がそれを受け止めた。
「……星龍ゥ、栗花落ィ。貴様、隊律違反を犯したのに鬼を庇うってかァ――さすがはァ、異端の柱・・・・筆頭だなァ」
――異端の柱。
そう。俺達は鬼を滅する時、ある鬼を除き・・・・・・、鬼に慈悲を掛けているからである。
鬼は人を喰らう生き物であり、容赦なく滅するのが鬼殺隊の心理。
だからこそ実弥は、俺達の鬼殺の仕方に納得をしていないのだ。
「……不死川さん、勝手はしないで下さい。この場は、お館様の意見が最優先です」
――お館様。その言葉聞いて実弥は眉を寄せ「チッ!」と苛立ちを覚える。
確かに、お館様耀哉の了承も無く、独断で違反隊士を罰するのは問題になる。
なので、俺達3人は納刀しこの場を収めた。
そして、
「静まった様だね。…よく来たね、私の可愛い子供たち。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?」
襖を開け到着した耀哉がそう呟き、双子の手を取り歩む。
「顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと嬉しく思うよ」
耀哉がそう呟いた後、実弥が、
「お館様におかれましても御壮健で何よりです。 益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」
と言った。
そして耀哉が双子に手を貸してもらって座布団に上に座る。
そうして始まった柱合裁判だが、やはりと言うべきか穏やかと言えるものでは無かった。
炭治郎・禰豆子を容認する耀哉に、行冥、小芭内、杏寿郎、天元、実弥が反対意見を述べる。
「では、手紙を」
「はい」
そう言って、双子の一人が手紙を読み始める。
「こちらの手紙は、元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます」
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