FINAL LAP

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 5年前、まだミニバイクレーサーだった12歳の俺は兄貴の応援で鈴鹿に来た。  その時が初めての鈴鹿サーキットで、普段走っているつくばとは違う大きなサーキットに目を輝かせた。  J―GP3クラス三年目、ずっとシリーズチャンピオンを争っている17歳の若き天才ライダー早川透也は俺の自慢の兄貴だった。  既に来年からはスペイン選手権に行くことも決まっていて、将来は日本のエースと呼ばれるだろう逸材だと言われていた。   「秀二、すごいだろ、鈴鹿」 「うん、めっちゃすげえや、隼人兄(はやとにい)も最初はドキドキした?」 「そりゃな、ちょっとチビりかけた」  アハハと豪快に笑う隼人兄は兄貴の親友でライバル。  一人っ子の隼人兄は俺のことを本当の弟のように可愛がってくれていた。 「隼人! オマエさ、自分のピット戻れよ、また親父さんに怒られるぞ」 「だって秀二も来てるって言うし。あ、透也! 今日は絶対俺がチャンピオン貰うから」 「渡さねえよ! ふざけんな」  一発逆転ありのポイント差。  1位の兄貴と隼人兄の差はたった3ポイント。  このレースで1位になった方が年間シリーズチャンピオンとなる。  二人はポケバイ時代からのライバルだ。
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