貴方へ

5/11
前へ
/11ページ
次へ
そしてぼくは、あることを知りました。 貴方には彼氏がいることを。 そして貴方は、彼氏の事が嫌いであることを。 それを知ったのは、貴方に初めて出会ってから、数ヶ月程たった春も近づいた、冬の日の事でした。 貴方はご友人と共に、あるカフェでお話をされていました。 ぼくはたまたま、そこに居合わせました。 盗み聞きのようになってしまい、 本当に申し訳なく思います。 ですが、貴方はそこで、彼氏に対する怒りを、 ご友人に話されていたようでした。 そして貴方はその彼氏に対して、 何度も「死んで欲しい」と口にしました。 そこでぼくは気がついたのです。 貴方の彼氏は貴方に酷いことをしていることを。 貴方は彼氏が大嫌いであることを。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加