優しさ

10/22
前へ
/268ページ
次へ
 寮の入り口まで送ってくれたルカさんと別れて部屋に戻った私は、大きく息を吐いて、ベッドにごろんと転がった。  スマホを取り出して、まずはルカさんにお詫びとお礼を送った。直ぐにルカさんから、 『代わりに今度化粧させてね、で、そのまま雑貨屋さんね。』 と返事が来た。 『願ったり、叶ったりです!』 と返すと、星を見つめるキラキラおめめの王子様のスタンプが来た。私がルカさんに似てると言って、プレゼントしたものだ。  うふふ、と声に出して笑うと、気分も少し軽やかになった。 「よし。」  気合いを入れて、光汰のメッセージに返信することにした。 『響、今どこ?』 『大丈夫?』 『ちゃんと説明できなくてごめん。後で連絡するから。』  1分おきのメッセージ。その数分で色々考えてくれたのだろう。そして、ルカさんに連絡してくれたのだと思うと、胸が甘く疼いた。 『私もごめん。』 『うん、説明して。』 と返信した。スマホを枕元に置いて、少し瞼を閉じた。  ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ  スマホの振動で目を開ける。少しスッキリしたきがするから、眠っていたのだろうか。スマホを見ると光汰からの着信だった。 「もしもし。」 「響、さっきはごめん。」 「ううん。」 「玄関に出てこれる?」 「え?」 「今、寮の前にいる。」  時間を確認するともうすぐ11時。  返信したのが10時50分ごろだったから、やはり返信してから少し寝ていたようだ。気分はスッキリしたが、頭が回らない。  とりあえず、スマホとバッグを持って部屋を出た。
/268ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加