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私の身体は勝手に期待して、その期待に裏切られて、どうにもならないもどかしさが募る。切れていた息が、もどかしい吐息に変わっていく。
唇が触れるか触れないかの距離で、
「どうした?」
と光汰が低く微かに笑いながら囁く。
光汰の唇から目線を上げると、艶やかに笑う光汰の瞳が目に入る。明かりのついていない空間で、その瞳にいつもと違う光がともっているのを感じる。その瞳に映る私も、いつもとは違うのだろう。もうどうでもいい。恥ずかしさも薄れていく。
私は、光汰の首に腕を回し、顔を引き寄せて、息を吐くように溢れる思いを呟いた。
「好き...」
光汰が小さく息をついて、薄く笑った。
「…響が悪いんだからな。」
その夜、私の何が悪かったのか分からないまま、光汰に散々焦らされた後、官能的に揺られて…初めて泣いてしまった。
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