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光汰に、店長から私達に話があるらしいと言われ、二人でキッチンへ向かった。
「ごめんね、急に。二人は今日は早番だったよね?昨日の怪我で小山さんが今日はお休みで...。本当に申し訳ないんだけど、フルで入ってもらっていい?本当は一人でいいんだけど、それは流石に申し訳ないので二人で一緒に入ってもらうっていうので許してください。」
と言って店長はペコリと頭を下げた。
「その代わり、今日は二人一緒に休憩してもらっていいから。まかないもデザート付きのスペシャルまかないにするので!」
と上目づかいで可愛くお願いされてしまった。私と光汰は顔を見合わせて笑った。光汰も私と同じ意見のようだ。
「良いですよ!そんなにして頂けるなんて、こちらこそ有難いです。ね?」
「ほんとですよ。店長にイブのディナーまでご用意頂けるなんて、な?」
と私達が笑うと、店長はホッとしたように笑顔になり言った。
「昨日も今日も、二人の恋路を邪魔してばっかりで馬に蹴られちゃうね。ごめんね。ありがとうございます。助かります。」
店長は見た目は甘いイケメンなのに、時々おばあちゃんみたいなことを言うので、そのギャップにほっこりする。
周りのキッチンスタッフにも挨拶をして、私達はホールへ開店準備に向かった。
イブの夜がバイトになってしまったけれど、頼りにされた上に感謝されて、自分を認めてもらえたようで嬉しかった。それに光汰と一緒だし、と思って光汰を見ると、目が合って髪をすくように撫でられた。
そこへ丁度やってきた陽色が、光汰の行動に目ざとく気づいて、ヒューヒューと私達を茶化した。
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