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「つっかれた~!」
2日連続のフルシフトに、昨夜のアレコレもあったので、光汰の家に着いた時には疲れ切っていた。人のお家なのに、ソファーに腰掛けて、肘掛けに抱きつくように突っ伏してしまった。
ソファーが静かに沈んで、光汰の手が私の頭を撫でた。
「昨日の夜も激しかったし?」
「...。お、憶えてない。」
実は嘘ではない。記憶がおぼろげなのだ。とても恥ずかしいトコロだけは忘れてはいないけれど、あの感覚は思い出せない。今までに経験したことがない感覚だったから、脳が再現できないのだろうか。思い出したいような、思い出したくないような。
光汰は俯く私の髪の毛をそっと梳くようにかき上げて、私の顔を覗き込むと、
「そんな誘うような顔すんなよ。」
と苦笑いして髪の毛にわしゃわしゃと深く指を入れた。
「風呂入れる?」
「ううん、もうシャワーでいい。シャワーも面倒なくらいに疲れた。」
「じゃ、入れてやろうか?」
と光汰に額にキスされた。
「自分で入れる!」
私が立ち上がって着替えを取りに行くと、光汰の笑い声が背中越しに聞こえた。光汰に揶揄われるのは本当に恥ずかしくて困るんだけど、ちょっと浮かれるほど嬉しかった。
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