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バッグの中から、クリスマスプレゼントを取り出して光汰に渡した。その時、私の右手にキラリと光るモノに気がついた。
びっくりして放心している私を他所に、光汰がガサゴソと包みを開けて
「おぉ!時計!欲しいって言ってたの、憶えててくれたんだ。すげぇ、めっちゃいいじゃん、コレ。仕事にも使えそうだし。お洒落だし。...響?」
「これ...。」
私は右手の薬指のアクアマリンの指輪を見せた。
「あー。響の誕生石?好きだって言ってたじゃん?…あぁ、泣くなよ~。」
ほろりと涙が出てきた。すると光汰の長い腕が伸びてきて、温かな胸に包まれた。
「だって、高そうだし、指輪だし。初めてのプレゼントなのに…。それに、薬指だし。」
私が初めての恋愛で右往左往して散々光汰を困らせていたのに、光汰は指輪を買おうと思ってくれて、そしてこうして準備していてくれた。自分と光汰の行動の違いに申し訳ないと同時に、とても嬉しくて感激してしまった。
「響、そのまま聞いてくれる?」
光汰は私を抱きしめたまま、話し出した。
「俺さ、多分今まであんまり良い人では無かったと思う。その…男として。そんなつもりはなかったけど。
響を好きになって気づいた。人を好きになるとどういう事が気になるとか、どういう事が嬉しいとか。そういう事を全然分かってない自覚もなかったから、きっと周りの人をたくさん傷つけてきたんだと思う。
でも、響を好きになって、分かることができた。だから、響を嫌な気持ちにさせたくないし、笑ってて欲しいって思う。そのためなら、何でもできるんだよ。響のためなら。
俺には響は特別で、響だけなんだ。きっとこれから先も変わらないって、感じるんだよ。
だけど、響にとっては俺が初めての彼氏で、俺が本当に特別な存在なのかはまだ分からないかもしれない。だから…」
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