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手伝ってくれていた雫は、丁度引っ越しがひと段落した午後3時ごろ、マレくんが迎えに来て帰って行った。光汰と二人きりが少し照れ臭くて荷解きしていたら、没頭してしまった。
「雫の部屋に響がいるって、なんか不思議。」
箱だらけの部屋の真ん中で作業をしていた私を見て、光汰がドアにもたれながら言った。
少し影ができている立ち姿がサマになっていて、カッコいいと思ってしまった。長身な上に無駄に手足が長い。嫌みな奴め。
ピッと音がして部屋が明るくなった。光汰がリモコンで部屋の電気をつけてくれた。外は日が落ちてきていたのに荷解きに集中して気づかなかった。
「かっこつけちゃって。」
「カッコいいと思ったからって、照れるなよ。」
「...。」
「え、マジで?カッコいいって思ってくれたんだ。へ~。」
と言いながら、私に近づいて来て、顔を両手で包まれたと思うと上を向かされて、光汰の唇を感じた。
「待ってっ…、この箱だけ終わらせるからっ…」
と言ってるのに、気が付くとベッドの上で、両手を光汰に押さえられている。
「...。」
「…、何?突然襲いかかっちゃって、反省してるの?」
「響…。」
あ、やっと気づいたんだ。
今朝、私は光汰からもらった右手の指輪を左手の薬指に移したのだ。
「これからもワルさしないで、いい子にしててね。じゃないと、この指輪が指一本ずつ離れていくからね。」
「じゃ、響を幸せにしてポイント貯めとかなきゃな。」
「ポイント制なの?」
「そう。傷つけて泣かしたら減点だけど、気持ち良くて泣かせられたらボーナスポイント。」
「はぁ?何言ってんの?」
「いいじゃん、俺、今すっげぇ嬉しいんだから。」
光汰は私の左薬指に口づけたあと、顔中にキスを落とした。最後に唇に可愛いキスを一つ落とした後、にっこり笑うと、深く深く口づけた。
光汰の熱が私の熱と交じり合っていく。
私の存在が誰かを幸せにできることがあるなんて、思ってもみなかった。しかも、自分の大好きな人を幸せにできるなんて。
きっとこれからも、泣いたり怒ったり笑ったり、色々あるだろう。それでも、このままひとつずつ、二人で小さな幸せを大切に過ごしていきたい。
喜んで私をぎゅうぎゅう抱き締める光汰の腕の中で、ずっとこの幸せな温かさを忘れずに生きていけますようにと願った。
…♡……♡… Fin …♡……♡…
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