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授業後、私達はキャンパス内のカフェでランチをすることにした。安くて結構美味しいし、大きな窓ガラスのカフェはお日さまが燦燦と注ぎ、気持ちが良いのだ。しかも、しっかりUVカットガラス。大学も生徒集めに必死らしい。
今朝は花壇には霜柱が出来るほど寒かったが、大きな窓から注ぐ日光と程よく効いた暖房のお陰で、縮こまった身体が解けていくようだ。
雫ががランチプレートをテーブルに置きながら話し出した。
「そうそう。ルカさんってさ、経済学部なんだって。」
「あ、そうなんだ?」
「うん。バイト先の子に聞いたの。あれだけ綺麗な人だから、やっぱりみんな知ってるんだって。」
「しずくのバイト先って、カフェの方?」
「そうそう。」
雫はカフェと家庭教師のバイトをしている。雫はお母さんと双子の弟の三人家族で、育った町にお母さんの家を将来買うのが夢なのだ。本人曰く、「夢じゃなくて買う予定なの。夢なんて言ってたら、叶うか叶わないかっていうところから分岐点ができちゃうでしょ?それに田舎は家も土地も安いのよ。」とかなり男前な意見をさらりと言うのだ。
「でね、」
と雫はハーブチキンを小さく切りながら言った。
「ルカさんって、ゲイなんだって。」
「…。」
「響ってさ、本当にゲイばっかり好きになっちゃうんだね。せめてバイなら可能性あったのにね。」
ルカ先輩に憧れる前に良いなと思っていた人もゲイだった。良いなと思う人は何故かゲイばかり。好きというより憧れに近い感覚かもしれない。
「下心が無さそうで、清潔感溢れる人が好きなの。」
と私が言うと、
「それだとゲイの人はピッタリあてはまっちゃうね。」
と雫が笑って、
「響は綺麗なんだから、彼氏なんてすぐ出来そうなのに。」
と続けた。
「え??」
驚きのあまりあたふたする。世の中の女性全員、私よりはみんな美しいし、かわいいと思える。自分が綺麗だなんて思ったことはない。
「わ、私なんて綺麗じゃないよ?卑屈になって言ってるわけじゃなくって。」
「そんなことないよ?一緒にいるお友達、綺麗な人ですよね、ってよく言われるよ?」
「いやいやいやいや。」
雫は私の全否定の返答にけらけら笑って言った。
「そこが響の良いところなんだよね。私は本気でそう思ってる響が好き。」
「私はしずくが好きだよ。」
褒められたのが恥ずかしくって、食い気味に言ってしまう。
「お前らこんなとこで、なにコクりあってんの?」
と頭上から声がした。
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