心地よい温度2 バル

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「もうっ。びっくりするじゃん!」 車道側に割り込んできた光汰に、思わず大声になる。  あはは!と能天気に笑いながら、光汰が手を伸ばしてくる。 「そのでっかい荷物持つよ。」 「え、いいよ。重くないし。」 「後ろから突然変な人が来ても、咄嗟に動きにくいじゃん?」 「それアンタじゃんっ。」  光汰はケラケラ笑いながら、私のトートバッグを取り上げる。 「ありがと。」 私の小さな声に、光汰は小さく頷いた。  こういうところ、光汰は優しい。さりげなく車道側に来たのだって、荷物を持ってくれるのだって、自然にしてくれる。お母さんと雫と3人で、互いを思いやりながら生きてきたからなのだろう。  以前、何でも頑張る雫に「何でもできてすごいね。」と言った時に、全部一人で背負っていたお母さんを助けるために、自分たちが代わりに出来るようになったことを一つずつやってきただけだと、雫が話してくれたのを思い出した。 「そう言えば、今日はなんでバッグ大きいの?」 と尋ねる雫に、 「バイト先の制服が入ってるの。今日持って帰って洗濯したくて。」 と私が答えた。 「マジで?あのケーキ屋の制服ってちょっとエロいやつだよな?」 「エロくないからっ。」 「見ていい?」 「見なくていいっ。」 「じゃ、着て見せて。」 「「はぁ?」」 雫と私は本気で呆れて光汰を見上げた。 「店に見に行けばいいじゃん!」 と雫。へ?そっち? 「そうだよな!」 「え〜っ!」 「なんで?嫌なの?」 「いやいやいや。この流れで、『じゃ、見に来て。』って言える人いる?」 「「なんで?」」 さすが双子。
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