心地よい温度2 バル

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「「「おつかれ~。」」」  バイト先から歩いて5、6分程のイタリアンバル風居酒屋に着くなり、料理を頼んで3人でグラスを合わせる。  ワイン樽風の丸テーブルに、頼んだ料理が並び始めた。アツアツのアヒージョを食べながらのビール。 「くーーーーっ。」 と勝手に声が出る。 「おやじかよ。」 「そうそう、さっきさ、その話になってさ。」 と雫が思い出して切り出した。 「響がね、私の中におやじがいるって。」 「しずくのは、ちっこい可愛いおやじかもな。裏が無い素直なところがあるからな。」 とローストビーフを口に運びながら光汰が答えた。    可愛いがられ慣れている雫は「可愛い」に無反応で話し続ける。 「でね、私思うんだ。響も中は違うよね?でもおやじっぽいけど、おやじじゃないんだよね…。」  光汰が来てすっかりお家モードの雫。髪の毛が食べ物にかかってしまいそうになっているのを、光汰が指ですくって耳にかけてやっている。  いいわぁ。この景色。見ているだけで癒される。双子と知らなければ、ただの美男美女。他人事のように眺めながら、ビールを飲む。 「あー。こいつは中におやじと見せかけた少女が住んでる感じだよな?案外純粋なところがあるもんな。」 「そうなのよ~。実は少女って感じだよね!」 「ってことは、オネエって感じか?」 わははは!と二人で爆笑している。 「私にはさっぱり分からない。さすが双子よね…。」  私がローストビーフを見つめているのに気づいた光汰は、ローストビーフの大皿から「いる?」の目線を送ってくる。私がうんうんと頷くと、私の小皿に数切れ乗せながら光汰は言った。 「お前はほんと、何かと俺らに『双子』を使うの好きだよな?」 「だってよく分かり合えててすごいなぁ、って思うんだもん。」 「そりゃ、一緒にいる時間長いから。きょうだいなんて、どこもそうだと思うよ。うちは学年も一緒だからさ。光汰、私もロースビーフちょうだい。」  雫が小皿を光汰に渡す。光汰は小食の雫に薄くて小さめのものを数切れ、選んで取ってあげている。 「ま、学年が一緒のきょうだいっていうのは、確かにあんまりいないよな。」 「双子くらいよね~。」 と私が言うと、光汰が言った。 「確かに。年子(としご)で同じ学年は珍しいよな。」 「年子で同じ学年になるの?」 「俺らじゃん。」「私たちじゃん。」 「え?」 「「え?」」
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