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公式大会始まる
2度目の?高校生活にも慣れ、バタバタと過ごしてるうちに市大会前日になった。体調も身体の不具合も無く万全の体制で挑むことができる。スタートには課題が残されてはいるがフォームもそこそこ修正できたつもりである。
練習前に各種目の出場選手と組み合わせが、マネージャーから配られた。市内大会は参加人数に制限は無く、1人2種目まではエントリーできる。
100メートルには、2年は俺、要、源太、他は1年の山口など計9名だ。俺はこの 100メートルにしか名前が無かった。
(あれ?200メートルには出ないのか?)
そう、200メートルには大和先輩、要、紫音、源太、山口など10名、とエントリーしていた。
女子では 100メートルに萌先輩、可奈先輩他8名、200メートルには可奈先輩他10名だ。萌先輩も 100メートルのみの出場のようだ。
他に幅跳びに、キャプテン、大和先輩、紫音など
400メートル、8000メートル、3000メートル、10000メートル、高跳びなど他の種目にも同部員が多く出場している。
神戸市では我が青海高校と私立校の黄志学園は注目されている。我が校以外の注目選手は黄志学園の西大翔と橋本新次郎が 100メートル200メートル共に有力選手だ。他に六甲学園の猪原真も短距離の実力選手のようだ。
俺の出番は予選1組だから最初に走る。緊張とかはしないだろうけど、初めてなのでスタートまで前の人を参考にするつもりだったがそうはいかなくなった。不安要素といえばそれくらいだ。あとはきちんと走るだけだが、部活を終え帰り道、萌先輩が
萌「こうちゃんは明日は何も考えず無心で走れば問題ないから!」
と言っていたが、それってかなり難しいことなのでは?っと思う。悩んでいても仕方が無いので深く考えるのをやめた。面倒くさくなると深く考えなくなるのが俺の長所でもあり短所でもあるのだが…
そして俺はその日はいつも通りグッスリ眠った。
次の日…
いよいよ初めての大会を迎えた。要と紫音と3人で会場に入った。市大会とはいえ、参加人数も多く、いい緊張感がある。青海高校と表記している立て札のところで集合となっている。
要「どこだー?…お!あそこだ!」
要が先導するので俺と紫音はついて行った。近くには他の高校生も多く集まっていた。
「この辺すごく人多くない?」
紫音「市大会と県大会ではいつもこうなる。うちの高校は全国大会や近畿大会へ常に出る有名実力選手が多いから仕方ないよ」
「へぇ、そうなんだ。でも…誰が有名人なんだ?」
紫音「お前…ほんまに何も知らんよな…。少しは興味持てよ」
「あ、うん」
そう紫音とやり取りをしていると他校の女子数人が寄ってきた。
他校の女子たち「あのー、氷室さんですかぁ?」
要「あ、はい。何か?…」
他校の女子たち「キャー!やっぱりーあの、あのぅ…一緒に写真撮ってもらってもいいですかぁ?」
(写真?こいつと?)
要「時間無いから、すぐに済ませてくれるなら…」
他校の女子たち「やったー!ありがとうございます!」
(こいつ慣れてるな)
「紫音、こいつが何であんなに人気あ…る?…お、おい」
な、なんと振り返ると紫音も違う他校の女子たちに写真を一緒に撮られていた。
(ふん、あほらしい…)
俺は実は羨ましかった。が、全く興味がない素振りを作って部員たちのところへと到着した。
「おはようございます」
キャプテン「おっす!あれ?要と紫音は一緒じゃあないんか?」
「あの女子の群れの中に2人ともいてます」
俺は他校の女子たちから声掛けられた辺りを指差して言った。
キャプテン「あーあいつらもか…」
藤代「大和もあそこで女子たちに捕まってる…」
大和先輩も人気の人のようだ。
キャプテン「で、萌と可奈はまだか?」
藤代「まぁ到着すれば騒ぎになるからすぐに分かるでしょ」
キャプテン「それもそうだな…」
「萌先輩と可奈先輩も来ればあんな風になるんですか?」
キャプテン「あんなもんじゃない。あいつらは全国トップクラスだからな」
藤代「しかも…違う意味でも有名人」
(違う意味でも?)
突然、ワァーっと今度は他校の男子たちが騒ぎ出す。そしてスタンドの入り口付近へと人の波が押し寄せていく。
藤代「来たね!」
キャプテン「あぁ」
「え?萌先輩たちが来たって事っすか?」
キャプテン「あぁ、間違いないだろう」
藤代「男子たち!萌と可奈迎えに行ってくれる!?」
男子部員「はい!」
男子部員10人ほどがスタンドの入り口付近へ走って行った。どうも人だらけで身動きが取れなくなっているようだ。
「そんなに…大騒ぎじゃないっすか…」
キャプテン「いつも、あぁなる」
萌先輩と可奈先輩の姿は目視することはできないが、男子だけでなく女子たちも群がっている。
キャプテン「実力はあるし、雑誌で取り上げられるほどの有名人だから男女どちらにも人気があり、結局いつも…」
そこへ要と紫音がやっと解放されてたどり着いた。
紫音「萌さんたち相変わらずの人気者っすね」
藤代「お前ら遅い!女子たちに囲まれてたとかいう言い訳は認めないからね」
要、紫音「はい、すいませんでした…」
(ざまぁみろ!うらやましいやつらめ!)
と、静かに心で思った。萌先輩たちはというと…人だかりがこちらへ移動してきているのでまもなく到着するようだ。これから真剣勝負なのに、これでいいのだろうか、っと不思議な気持ちになった。
萌「おっはよー!」
今日も明るい萌先輩がようやく我が校のエリアへ到着した。可奈先輩も一緒だ。可奈先輩とはほとんど会話したことがない。
可奈先輩、フルネームは新堂可奈。背は高く黒髪のキリッとした美人な感じで、一見冷たそうなイメージを持たれる事も多いようだ。萌先輩とは正反対の性格で大人しく控えめな性格。実力は全国トップクラス。また、2人ともスポーツ系の雑誌などに美女アスリートとして何回か掲載された事もあるくらいの全国的な有名人でもある。
キャプテン「集合ー!ミーティングするぞ」
みんながキャプテン中心に集まってきた。藤代先輩が前に出る。
藤代先輩「まずは 100メートル予選から始まるので、出場する人はミーティング終わったらすぐに用意して隣にある競技場でアップに入ってね。で、他の人は………。さいごに1年生は初めての大会なので分からない事があれば先輩に聞いてね」
キャプテン「よし!ここから切り替えていくぞ!みんな、緊張し過ぎないよう練習の成果を出せるように頑張ってくれ!」
要がすぐに俺のところへ来て
要「すぐ用意してアップ場に向かうぞ!」
「おう。で、何持ってくの?」
要「スパイク以外はほぼ要らん!給水などはマネージャーがやってくれる」
「了解!」
要「急ぐぞ!もう源太と山口は行ったぞ」
(早いなあいつら…やっぱり慣れてるんだな)
俺はバッグからスパイクを取り出し要と急いでアップ場に向かった。いよいよ俺の公式戦が始まる。
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