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「人間は偉大な力を恐るものだからな!ワシくらいすっごい神様だと恐れをなして、屋根裏に封印したくなるのもわからないことではない!いやいやワシは心の広い神様であるからな、そんな程度のこと気にしたりなんかしないぞ!泣いてもいないし寂しくもないしぼっちだとも思っていない、うむ!」
「……泣いたし寂しかったしぼっちだと思ってたわけね、うん」
何だろう、この見た目に反して恐ろしく人間くさい神様は。僕は呆れるしかない。あと、封印されてたんじゃなくて、ただ単にぐっちゃぐちゃの押入れのせいで扉つっかかって開かなくなってただけだと思うんですけど――ということは、教えるべきなのか教えないべきなのか。
「……本当に神様なの?」
僕はジト目になって、自称“押し入れの神様”に声をかける。
「なんか、信じられない。威厳を感じない」
「何おう!?」
「本当に神様ならさー、証拠見せてよ証拠。神様のチカラでなんかやってみせてよー」
本当の神様ならば、人間にも猫にもできないことができるはずだ。僕がそう言うと、乗せられやすいっぽい神様はあっさり憤慨して、“そんなに言うなら何か願い事を言ってみろ!何でも叶えてやるぞ!”と叫んできた。
何でも叶えてやる、なんて簡単に言うべきことではないと思うのだが。僕はとりあえず、ここ最近の不満を解消するお願いを言ってみたのだった。
「じゃあ、お母さんのお仕事がお休みになるようにしてよ。僕、もっとお母さんに遊んでもらいたいよ!」
さあ、この願いを叶えてみろ、と告げれば。神様は少し渋い顔をして、うーむ、と考え込んでしまった。
「できなくはない。できなくはないが……本当にいいのか?」
「何が?」
「お前のお母さんの仕事は、“サンタクロースのお手伝い”だぞ。お母さんがお休みになったら、たくさんの子供達が困ることになるんだがなあ」
「え?」
「なんだお前さん、知らないのか」
仕方あるまい、と神様は木の枝みたいな杖を振り上げた。何をする気なんだ。そう思った、次の瞬間。
「特別に、お前のお母さんのお仕事を見せてやろう!ほーら!」
「うわああ!?」
一体、何がどうしてどうなったのか。
突然僕の目の前は、真っ白な光で包まれていったのである。
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