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渇き待ちの時間がもったいないから、私達は各自スケッチに出かける事にした。
お昼に学食で集合する事にして、一度解散した。
絵美も莉子も目星がついているのか速攻ちっていった。
お昼まで2時間。きちんとスケッチするには今から場所を探していては時間が足りない。
大学の外まで行くのは無理だなぁ。あまり校内にも詳しくないからどうしたものか。
スケッチブックを持ってフラフラとさ迷っていたら、細い建物と建物の間がある事に気がついた。
裏路地みたいで興味を引かれた私はその薄暗い狭間に立ち入った。
日の当たる所から来たので少しひんやりしている。
広い学食の裏手にあるので光は遠くの方にある。
この暗い空間が誰もこない寂しい場所のように思えたが、同時に自分だけの秘密の通路みたいに感じてワクワクした。
ゆっくり歩き出してみると、学食の壁には蔦のような植物が引っ付いていた。
それには山吹色の小さな南天みたいな大きさの実が沢山ついていた。
「綺麗」
寂しい場所にこんなに可愛らし実がなっているなんて。
でも、恐らく雑草であるこの実はその内処分されてしまう。
今のこの様子をスケッチしておこう。
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