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「完成した?」
「あっ!」
不意打ちに暗闇から今野先生が現れた。
足音もなかったよ。忍者か!
「はい。有り難うございました!」
「うん。どういたしまして。ふふふ」
今野先生は私の全身を眺めて細い目を少し大きく見開いてから微笑んだ。
「へ?あ!スミマセン!」
私ったらジャケット着てるじゃん!
慌てて脱いで渡したが、その手を引っ込めた。
「?」
「気が利かなくてスミマセン!クリーニングして返します」
「いや。いいよ。少しの時間の事だし、汚れていないよ」
そう言って先生は私の脱いだジャケットを受け取った。
「へっへっぷし!」
ジャケット脱いだから、寒い。
「へぷしっ!へっぷしっ!」
「ここは寒いからね。ちょっとついて来て」
先生はさっき返したジャケットを私の肩にかけると歩き出した。寒すぎて、今野先生に促されるまま後に続いた。
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