240人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「先ず一つ目はあいつが独身だって嘘ついてる証拠が必要。LINEでも手紙でもいいから、何かない?」
考えてみると、明確に独身だと断言してることはなかったかもしれない。何で口説いてくる男はみんな独身だとおめでたく信じていたのだろう。
「……探してみますけど、はっきりと独身だと言ったことはなかったかもしれないです。ずっと彼女いないとは言ってたけれど」
そう言って肩を落とした。上島さんはそんな私を元気づけようとしてか、私の目の前に枝豆を置いた。
「それは今からでもとれそうだから大丈夫だよ。二つ目の証拠なんだけど、何か将来の約束みたいなののLINEとか残ってない?」
「それは結構あるかも。この先ずっと一緒にいたいなとか、将来の奥さんには家庭に入って欲しいとか、仄めかし系は沢山あります」
なんだか悔しくなってきた。そんな甘い言葉で簡単に騙された自分が憎い。
「はい、じゃあ今すぐそれスクリーンショット撮って保存して。相手が消しにかかるかもしれないから」
上島さんに言われるがまま、将来を仄めかしたメッセージを全てスクリーンショットを撮って保管した。
「じゃあ三つ目の証拠、肉体関係があったことを証明しなければならないの。旅行に行ったこととかない?」
「今度出張ついでに一緒に名古屋行こうって言ってて」
「はい、そのLINEもスクリーンショットして」
慌ててその過去メッセージも探し出し保存した。
「後はこれは私は絶対見ないから何か肉体関係がわかるような、下ネタのLINEもとっといて」
確かにある、人には見せられないような内容のやつが結構ある。小恥ずかしくなりながらもそれも保存した。
「次はあいつから貰ったプレゼントとか手紙とかない?」
「ありますけど、昨日全部ゴミステーションに捨てちゃいました」
「ゴミの日はいつ?」
「えっと明日です」
「じゃあ、まだゴミステーションにあるね。今から探しに行こうか」
上島さんはそう言ってニッコリと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!