志麻さんと血みどろの骸骨3

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「仲介屋?」 「そう、仲介屋さん。入って話そうね」  インターホンを押すと女性の声が聞こえ、僕たちを中へと招いてくれます。 『志麻ちゃん久し振りー。中に入って、ソファーに座ってて。お茶を入れてくるから、待っていて』  中へ入ると扉の正面に受付らしきカウンター。その奥に事務用デスクとキャビネット。右側に応接セットが置かれ、その奥にパネルで仕切られた給湯設備があるようです。  給湯場に人の動く気配がする以外には誰もなく、仕方あるまいと志麻さんと二人座れといわれていたソファーへ。志麻さんは素直に座り、僕は座ったポイ姿勢で浮いてみます。  ええ、ソファーに座るには、物に触れる能力とか必要なんですよね。物理的に不可能なんですよ。 「勝手に緑茶にさせてもらったわ。紅茶や珈琲が良ければ、お代わりのときに入れるわね」 「緑茶で大丈夫。それより京子姉さんお久し振りー」 「志麻ちゃんは久し振り、骸骨くんは始めまして、南原(なみはら) 京子(きょうこ)です」 「はじめまして、志麻さんからは幽霊と呼んで頂いています」  湯呑の乗ったお盆を持って現れたのは、志麻さんよりも少し大人な雰囲気の女性でした。  南原さんは流れるような動作で応接セットへ歩み寄ると、無駄のない動作で僕逹の前へ湯呑を置き、しなやかにソファーへ座り、晴れやかに名乗られました。  はてさて、この只者ではなさ気な女性は一体何者なのやら。 「いきなりお尋ねする失礼をお許しください。南原さんは僕のことが見えていらっしゃる」  そう、南原さんは迷うこと無く、僕の目の前に湯呑を置きました。そして今も、僕と目を合わせようと、髑髏(しゃれこうべ)の2つの穴を覗いているんです。 「えー、京子姉さんずるい。この時間、私は声しか聞こえないのに」 「志麻ちゃん、骸骨くんが見えなかったら私、この仕事してないわよ」  志麻さんの可愛らしい抗議にクスクスと、手で口を隠して笑う南原さん。なんとまあ華やかな方々です。 「早速なんだけど骸骨くん、私は仲介屋という仕事をしています。業務内容は、不可解な現象に悩まされている依頼人に、悩みに合った解決業者を紹介することです」  随分どざっくりとした説明ながら、大体のことは察しました。 「その悩みと云うのは心霊現象なんですね」 「ええ、その通り。紹介する解決業者は、僧侶、神主、神父、牧師、除霊師、呪術師、陰陽師、霊媒師、そう呼ばれる人達なの」
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