屋上の思い出

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目覚めると病院のベッドの上だった。 「美晴!」 安堵した夫と泣きそうな母の顔があった。 「赤ちゃんは?」 聞くのが怖かったが、いちばん知りたいことだった。 「無事産まれたよ。元気な女の子だよ。」 「でも、美晴、どうしてあんなとこに。陸さんがタクシー飛ばして駆けつけてくれたから良かったけど、あのままだとあなたの命まで危なかったのよ。」 「ごめんなさい。」 「お義母さん、もういいですよ。母子とも無事だったんですから。でも、美晴が退院するのは赤ちゃんの後になりそうだな。 名前、考えてたのでいいか?香住(かすみ)で。」 「あ、名前それじゃなくてもいいかな? 『しずく』にしたいの。」 おばあちゃん、さすがにおばあちゃんと同じ名前は古臭いから 『志津子』の『しず』を取って、『しずく』にしたよ。
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