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私はおばあちゃんを忘れていたことに罪悪感を抱いた。
あの日から、ちょうど30年。
私はデパートの屋上にいた。
お店に用はない。ただ、ここに来れば おばあちゃんのことをもっと思い出す気がしたからだ。
目を閉じる。店内から流れてくるのは子どもたちが歌う『赤鼻のトナカイ』。
あの日もこの曲が流れていたような気もする。
静かに目を開けると、目の前にはおばあちゃんが…いるはずもなかった。そんなおとぎ話のようなことにはならない。
その変わり、私の下腹部に激痛が走った。
俯くと、赤い筋が見えた。
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