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朱嘉は幼なじみで、去年までは2軒隣の一軒家に住んでいた。
去年の暮れに朱嘉の父親が事件を起こして、警察沙汰になり逮捕され、朱嘉は母親と共に家を出て行った。現在は結構いいマンションに2人で暮らしている。
数回遊びに行ったが、比較的新しく、室内も広くて綺麗だった。
「こうきくーん」
「……」
「こうきくんってば。聞こえなかったのかな?」
ニコニコと笑みを浮かべながら女子の先輩が寄ってくる。面倒臭いと思いながらも、ちゃんと立ち止まってやる俺は結構いい人間だと思う。
「何か用ですか」
「ねえこの間の話どうなった?」
「この間?何でしたっけ」
何の話かわかっていたが、あえてとぼけた。何せ面倒臭い。
「あさひくんの話だよー。忘れちゃった?」
「あー思い出しました」
朝日と言うのは、俺のもう1人の幼なじみ。女みたいな顔したーー所謂ビショーネンと言うやつ。
その朝日との橋渡しをどうにか、と頼まれたのだった。いやいや、誰がやるか。そんなクソ程面倒臭い上に自分に何の益にもならないこと。
「無理っぽいです」
「えーなんでなんで?」
「いや、俺に聞かれても」
「えー」
「じゃ、さよなら」
「えー待ってよこうきくん」
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