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kouki
「こうきー!」
「……」
「なんで無視するの?可愛い彼女が呼んでるのに!」
今日も今日とてクソみたいに暑い。
夏ってだけで怠いのに、騒がしいワンコみたいな奴が怠いことを言いながら腕を掴んでくる。しかも、廊下のど真ん中。当然皆々様の注目の的。
3ヶ月前に中学に入学してから、かったるい事が鬼のように増えた。教師も課題も女も何もかも、小学生の時と比べたらまあ数段面倒臭い。
「あのさ律」
「なーに?」
周りからの視線を感じ、人目につかない所まで律の腕を引いて歩く。
「お前いつから俺の彼女になったワケ」
俺の記憶をどう辿っても、そんなやり取りなかったと思うんだけど。
「酷い!こうきあんまりだよ!」
律のデカくて高めの声が耳にキーンと響く。鼓膜が痛くて顔を顰めると、律が泣きそうな顔をした。
「忘れちゃったの……?」
「付き合おうとかそういう話した記憶ない」
「何それ。おっぱい触ったじゃん!」
声がでけえわ。
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