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夏
「ない、ない。やっぱりさっきの教室に忘れて来たみたい。取りに行ってくるね。」
「じゃあ、先に学食に行ってるね。」
同じ学部の友達である佐藤夏実と別れ、私、興南大学経済学部の2年生、風見舞花は、一つ前の講義のノートを忘れた306教室に向かって構内をひたすら走っていた。
今日、出されている宿題のレポートもノートがないと困るのだが、何より空いていたページについ書いていたバイト先のファッションブランド『Angelina 』の服の組み合わせアイデアを他の人に見せるわけにはいかない。
これから出る新作の情報というより、私のアイデアをバイト先の先輩以外に見せたら恥ずかしいから。
目指す306教室に着いて、中を覗くとちょうど私の次の講義が終わったところだったようだ。
たしか座っていたのは、前から三列目の窓側…
ちょうどその辺りには、終わったばかりで話し込んでいる三年生と思しき男子学生のグループがいた。
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