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「青、来ると思わなかった」 「私も、ちゃんと掃除してると思わなかった……」  翌日、私は屋上を訪ねた。もちろん月に会いにだ。無人の可能性も考えたが、彼は当然のように掃除をしていた。意外と平凡な対応に、安堵と緊張が入り乱れている。 「だって、誰にも近付かれないって可哀想だろ」 「……噂の話?」  第三者を感じさせる発言により、すぐにピンと来る。投身自殺した生徒の噂だ。 「それ。噂じゃないかも、とか言ったら聞きたい?」  月は掃除の手を止め、私の目を見詰めてきた。真剣な眼差しが、彼の考えに繋がる線を予感させる。 「うん。私、月くんの話なら何でも聞きたい。殺したい相手とか、理由とかも全部。私も聞いてもらって救われたから」  もちろん他愛ない話も、不確定な未来の話も全部。言いながら、月の横にどっかりと座る。そして目配せした。 「大丈夫、私、ばらしたり面白がったりするつもりないよ」 「…………青になら良いか」  そうして私たちは、フェンスの前で横並びに座った。
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