いじめられっ子の僕ですが、彼女が欲しいし、したいのです(後編)

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「その人の立場にならないと分からないことだってあるさ。仕方ないよ。でもね、これだけは分かっててほしい。  僕は今の川中の状態で心無い言葉を言われたんだよ。それがどんなに酷な事か忘れないでね」僕は川中由紀に対して絶対的な味方ではない。こういうタイプの人間は心配事がなくなると自分のしたことを忘れる。琴音のように常に当たり前の事が当たり前ではないと思っている人間でないと覚えている事は難しいだろう。  川中由紀のことは前から気にはなっていたがその程度だ。深入りはしない方がいい。 駅に着いたが一応彼女の最寄り駅まで行くことにした。精神的に不安定になっているのだろう。うつろな目をしている。  僕も経験しているから痛いほど良く分かった。誰かそばに居てほしかった。  あの時は誰も僕のそばには居なかった。 川中の最寄り駅まで付くと
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