いじめられっ子の僕ですが、彼女が欲しいし、したいのです(後編)

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「ありがとう、送ってくれて。もうここまでで大丈夫だから」そう言ってホームを降りた。  彼女の背中を見て僕は彼女が自殺しないか心配になった。彼女は不思議と汗をかいていない、こんなに暑かったのに。  僕がした判断は正しかったのだろうか?  裏アカウントの事は言わない方が良かったのだろうか?  そのことを言わずに警察に相談したらと言うべきだったのだろうか?  そもそも真由には言わなくても良かったのではないか?いろんなことが頭をめぐる。 今となってはもう遅い。彼女の頭の中では動画が拡散された後の事を考えているのだろう。どんな動画なのかは分からないが。 家に帰ると空手の練習時間はもう終わり近くになっている。今日は勉強も空手もどちらも時間を取れなかった。仕方がない。とりあえずシャワーを浴びて汗を流し、いったん制服を着替えて真由に会いに行こう。  武道館の前で待っていると真由が出てきた。もうすっかり辺りは真っ暗になっていて街灯だけが頼りになっていた。 「お疲れ様。真由。今日はありがとう」 「あー、おつかれさま。なんか久しぶりにこっちを教えるからちょっと疲れた」汗だくになった顔をタオルで拭きながら真由は言った。
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