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小学校の体育館で空手の練習をする。今日は真由が中学生を担当し僕は高岸先生に教わる。組手になるとそれはそれは恐ろしい。対峙するだけでちびりそうになる。相手は本気などこれっぽっちも出していないのだが気迫で負けているのだ。
攻めるも腰が引けてしまう。体格差もあることから勝てる気がしない。破壊力である運動量は質量と速度で決まる。そのどちらも上回る高岸先生に恐怖しかなかった。今までは真由とか古谷さんとか優しめの人と組手をしていたので、ある程度本気を出せたが、全力を出し切れずその前に潰される感じがする。
ただ、高岸先生の方が圧倒的に現実的だった。強い相手に向かっていく勇気を養わなければ、今ここで引いては訓練の意味がない。実際にこんな体格の人が襲ってくるかもしれない。鈴木のようなクソみたいな人間も居る。僕は最低限真由を守らなければならない。せめて真由が逃げ切れるだけの時間稼ぎをしなくてはならない。その実力は今はない。
そう、ここでそれを養うんだ。そう思うと、うだうだしていられなかった。攻めに転ずる。圧倒的な力で受け流され鋭い突きや蹴りが入る。もちろん寸止めで。受け流される力が半端なかった。圧倒的なまでの反射神経。僕の動きはコマ送りで見えているのかもしれない。
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