いじめられっ子の僕ですが、彼女が欲しいし、したいのです(後編)

27/59
前へ
/153ページ
次へ
 終業式、川中由紀は今日も休んでいた。そのまま夏休みに突入する。僕はまた成績が上がっていた。筋トレと同じようにやればやるだけ成果が表れてきてる。今まではひっそりとしか上がっていなかった成績も速度をまして上がってきている。  今までがひどすぎたからかもしれない。琴音に会わなかったら今頃どうなっていたことやら。そう考えると背中がスッと寒くなる。あの頃から考えたら僕はかなり進歩している。授業中にセックスばかり考えてたあの頃。今は学校は楽しくはないが勉強は楽しく、学外が充実している。  何より真由がいる。心のよりどころになる、僕にとって大きな存在だ。自分がちょっと誇らしかった。こういう時はあまり慢心しない方がいいと自分を戒める。僕は喜怒哀楽がすぐに顔に出る。嬉しい時に限って3バカに絡まれたりするからだ。  用心に用心を重ね慎重に学校を後にする。ギラギラした太陽が気持がいい。下を向いて歩くと、くっきりと僕の影が映っている。僕はここに存在している。ハッキリと。そう影が教えてくれているようだ。命が一斉に花開くような真夏が僕は好きだった。  うだるような暑さも入道雲も真っ青な空もエネルギーの塊のような太陽も海もプールも。水泳の季節、そう僕の季節だ。唯一僕が他の人より上に立てるそんな季節。大好きな夏がやってきた。夏休みだ。空を見て心の中で大声で叫ぶ。空に聞こえるように。 「夏だ、夏が来た。夏だー!うぉー!」
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加