いじめられっ子の僕ですが、彼女が欲しいし、したいのです(後編)

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さすがに川中由紀と二人っきりで話すのは気が引ける。まずは真由に申し訳ない。そして僕は川中由紀があまり好きではない。変に誤解されるとリスクしかない。真由は僕が信頼できる唯一の人だ。  川中の知られたくない痴態を真由に知られても川中には被害がないだろう。真由は嫌な思いをするだろうけど。相変わらず川中由紀は元気がない。窓の外をうつろな表情で見ている。電車の中では会話はしなかった。  駅から降りて公園へ向かう。その道すがら僕の彼女も相談に乗ってくれるからと話した。不安だろうな。あんなことをされて、仲良くもない僕と知らない町に来ている。真夏の夕方の公園なのに、ここは相変わらず閑散としていた。誰もいない。川中由紀を暑い中ベンチに座らせて、川中と自分に冷たいお茶を買った。一つを川中に差し出し、真由にLINEを入れる。誰にも聞かれたくないだろうからこの場所を選んだ。ここは静かだ。
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