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*** 「景都さん、まだ顔色が優れませんがご気分はどうですか?」 「はい、大丈夫です。今日は何度もすみません」 「いいえ、辛ければいつでもおっしゃってください。それで、景都さんはお仕事は何を?」 「私は夫の仕事の手伝いです。主に事務や経理を担当しています。夫がそういったことは疎く、全て私が担当していて、あまりに量が多くてそれで腱鞘炎に」 「悠椰さんは輸入家具店を経営されてるとのことですが?」 「はい。それとは別に、夫は小説を書いたりもしています。趣味の範囲ですけど」 「それはすごい。どういった小説を?」 「私も読んだことはないので分かりませんが、ミステリーを書いていると言っていました。多分今頃部屋で今日のことを書いているんだと思います」 「ヴァルトシュタインについては何かご存知ですか?」 「仕事中に動画を再生して聞いたりしていました。あ、あのCMも素敵ですよね。でもまさかこんな事件が起こるなんて…」 「そうですね、景都さんはどちらのご出身ですか?」 「…私は千葉です。今は静岡で暮らしています」 「悠椰さんは?」 「夫は神戸の出身です。方言が出ないようにイントネーションにはかなり気をつけて話してるんですよ。ああ見えて、あの人は恥ずかしがり屋なんです」 「そうは見えませんね」 「あ、すみません、私がこんなこと言ってただなんて、夫には内緒にしておいてくれますか?」 「もちろんですよ。……悠椰さんはいつも景都さんに対してああいった態度を?」 「……はたから見ればひどい夫に見えるかもしれませんが、私のことを分かってくれるのはあの人だけなんです」 「……失礼ですがお子様は?」 「……なかなか恵まれません」 「そうですか、ありがとうございました。お部屋でゆっくりとお休みになってください」 ***
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