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僕の。
お嫁さん。
!?
あまりにびっくりして、
口からレモネードが
流れ出た。
「わっ、とわ子さん!?
とわ子さん口が緩く
なってますよ!??」
雪彦さんが驚いて、
おしぼりでテーブルを
拭くけれど、
いや、だって!!!
「な、な、な、
何をおっしゃるの!?
雪彦さんのくせにっ、
ゆ、雪彦さんのくせに!」
そうよっ、
雪彦さんのくせに!!
私は知っているの!!
小さい頃の、鼻水
ズビズビだった雪彦さんを!
体もひょろひょろで、
吹けば倒れしまいそう
だった雪彦さんを!!!!
兄上と喧嘩するたびに、
負けて泣いていた
雪彦さんを!!!!!!!
幼心に覚えていて、
この方は私が鍛えて
あげなくっちゃ!!!!
って、お姉さんの
つもりで今まで接して
いたのに、
いた、のに。
なんだか、
こうして今目の前にいる
雪彦さんを見ると、
昔とはまるで違うの。
すらっとした手足に、
整った目鼻立ち。
いつのまにか、
背も私よりずいぶんと
高くなられたわ。
透明感があって、
品があって、儚げで、
でもなんだか、
その繊細な中に“男”が
ちらちら見え隠れする。
っ・・・・・!!!!
私がナプキンで
口元を拭いて、
決まりの悪さを
誤魔化していると、
雪彦さんは静かに
笑った。
「なんとなく
言ってみただけです。」
「なんとなく、って、
からかわないで!!!」
「へっ、あっ、
すみません、
とわ子さんっ!!」
雪彦さんは私に言われて
あわあわと謝った。
これよ、これが
いつもの雪彦さん。
私にあれこれ注意されて
慌ててるのが雪彦さん
なのに、
最近は、なんだか
お兄さんみたいになって、
胸が、落ち着かないわ。
落ち着かない胸を
落ち着かせるために
レモネードをガブガブ
飲んでいると、
雪彦さんはそんな
わたしを見て、
ゆったりと、楽しそうに
ほほえんだ。
「また、二人でどこかに
でかけましょうか。
これは“なんとなく”
じゃないですよ?」
!!!
ふ、二人で出かける!?
それって、まるで
おデートじゃない・・・!
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