大正乙女ロード

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色とりどりの花が 飾られた、素敵な 喫茶店に行って、 甘くて美味しい アイスクリームを 食べてても釈然としない、 私の心。 私は嫌。 そんな結婚は嫌。 自分を犠牲にするような 結婚なんてもってのほか だし、 知らない人と結婚して、 その人に左右される 人生も嫌。 私は、私の好きな人と 添い遂げたい。 その人とでないと、 人生を共にしたくない。 私の、 好きな人、は――・・・・・ ――――――――― ――――――――――――― 「とわ子。」 家に帰って、 食事の後、兄上に 呼ばれた。 湯浴みに行こうと していた私は、 キョトンと首を傾げる。 「あら、どうしたの、 兄上。」 「雪が明日、 学校の後でいいから おまえと会いたいと 言っていたぞ。」 雪彦さんが? こんなふうに兄上伝いに 会いたいなんて言われたの 初めてだわ。 だって、別にそんな 約束をしなくてもいつでも 会えるものだと・・・。 「一体どうしたのかしら。」 まさか、 正式にデートを 申し込んで来る、とか? ・・・・・・っっ!! 私ったら何を 期待してるのかしら!! 「とわ子??」 兄上が不思議そうに こっちを見てきて、 私は慌てて首を振った。 「な、何でもありません!! 分かりました、 お会いしますと お伝えくださいな。 私が大学へお迎えに あがりますわ。」 「分かった、伝えよう。」 兄上の背中を見送りながら、 ドキドキ。 雪彦さんったら、 どうしたのかしら、 改まって。 ふふふっ! 「ばあやっ、」 「はい、お嬢様、 どうなさいました?」 私はばあやを呼んで ニッコリ。 「明日着ていく着物、 何がいいかしら。 前買った反物の仕立ては もう済んだの??」 「へ? ええ、つい先日、 仕上がったと店の者が 届けにきましたけど、」 「そう!」 私はばあやの方を くるっと振り返った。 「じゃあ明日は、 それを着ていくわ。 あの着物だと、そうね、 紺の袴がいいわ、 紺の袴を出しておいて!」 会うと分かっているのなら、 ちょっぴり、 お洒落したい。 それが乙女心という ものでしょう??
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