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好き、
好き、好き、
私はあなたが
好きなんです。
「駆け落ちは
できないけれど、
私は、
雪彦さんと一緒に
なりたかった。
その気持ちに、
偽りはありません。」
ここまで言い切って、
口がカラカラになった。
息があがった。
雪彦さんはちょっと
俯いて、
それから一笑。
「その言葉が聞けて、
よかった。
・・・・とわ子さん、
僕も好きだよ。」
互いに、想い合う
仲だと分かったのに。
私たちは道を分かつ。
私はいつもの調子で
言ってやった。
「もし、雪彦さんの
お嫁さんがちゃんと
してなかったら、
私に言ってください!
私が喝を入れに
行きます!!!」
「・・・・ん、
そうだね。」
静かに笑う雪彦さん。
私は、ゴクッと
喉を鳴らした。
「では、
ごきげんよう、
雪彦さん。
お体を冷やさない
ように気をつけて。」
深々と頭を下げて、
それから、クルリと
雪彦さんに背を向けた。
そして、コツコツと
踵を鳴らして、闊歩する。
背筋をしゃんと伸ばして、
歩く。振り返らずに。
歩きながら、
じわじわと涙が
溢れ出てきた。
止まるな。私の足。
これが、正しかった。
きっと正しかった。
涙が頬を伝って、
首筋に流れ落ちる。
じわじわではなくて、
もはやどんどん
涙がこぼれて、
「っ・・・・・、」
私は走った。
好きです、
雪彦さん好きです。
どうか、
お幸せに。
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