177人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日。
私は父上に頂いた
ワンピースを着て
紅葉を見に行った。
父上、母上、兄上も
一緒で、
私は言われるがまま
人力車に乗る。
どこにいくかも、
興味がない。
分かってるの、
いつまでもこれでは
いけないということは。
周りに心配をかけて
しまうから。
でも、気持ちが
切り替えられない。
ガタガタと人力車に
揺られて、
私はボーーッと
周りの風景を眺めた。
人力車はどんどん
進んでいって、
止まったのは、
とある料亭の前。
・・・・・料亭??
紅葉を見るのに料亭?
「父上、紅葉を見る
のではないのですか。」
人力車から降りて
父上に問うと、
父上はふい、と私から
目を反らす。
「いや、この料亭の
“茜の間”から見える
紅葉が素晴らしくてだね、
大丈夫、とわ子は
大人しくついてきたら
いいんだよ。」
ついてきたらいい?
何か、不自然な気が
してならない。
何かが、変な気がする。
変だと確信したのは、
料亭に入って、
女将に挨拶された
時だった。
「先崎さま、
お待ち申し上げて
いました。
先方もお待ちで
ございますよ。」
先方?
・・・・・先方!?
先に誰か来ているの!?
・・・・まさかっ!!!!
だって、そうよ、
私にわざわざ新しい
お洋服をプレゼントして、
なぜか家族みんなで
ここまで来て、
まさか、
これって、
「父上!!!?
まさか、これは縁談では
ありませんよね!!?」
父上は、もう何も
言ってこなかった。
母上も何も言わなくて、
兄上は驚いてて、
・・・・・・・・!!!!
「騙したわね!!!!
なんてことなの!!!
帰る!!私帰る!!!!」
こんな騙し討ちで
結婚なんてさせられて
たまるもんですか!!!!
私が逃げようとすると、
人力車を引いてきた
男がガシッと私を掴んで。
父上はその男たちに
命じた。
「構うことはない、
とわ子をつれて
いきなさい。」
・・・・・!!!!!
最初のコメントを投稿しよう!